Since 2004/6/13 Last Updated 2004/6/21
サンスクリットの勉強で初心者がつまづきやすいポイントは数多くあるが、この「絶対語末」こそはその典型ではないだろうか。
まんどぅーかが最初に使ったテキストはいわゆるゴンダ文法であるが、そのp.12には、
そのくせこの絶対語末というのは文末どころか頻繁に登場する。 早い話が単語の末尾はみんなそうだし、複合語の各語末とか、 名詞変化のいわゆるpada語尾(両数のみたいに子音で始まる語尾)のところでも、 いったん絶対語末形にしたうえで外連声をすることが多い。 だからイイカゲンに「語末」と書いてくれたほうが、 逆に初心者はつまづくことがなくて親切だと思うんだが。 念のため主要な文法書でどう説明しているかを調べてみた。
サンスクリット文内の各語は、「さまざまな語形変化」→「末尾を絶対語末形にする」→「連声法を適用する」というプロセスになるので、 現実的には、「絶対語末の形=連声前の形」というふうにさらっと扱ってしまうのがいいように思う。 早い話が、当サイトのゴンダ文法解答例などのページの「連声前」の形がそれである。 ところで、絶対語末にはとは立たず、 どちらもになってしまう。 だから文法書の変化表などは、の形で載せないといけないはずであるが、 意外にやのままにしている本もある。 私の場合でいえば、最初に見たゴンダ文法が, 式、 次に見た辻文法が式なので大いに面食らった。 このあたり、いろんな文法書がどっち式を採用しているかだが、これは、, 式が圧倒的に少数派なのでそれをあげるのが手っ取り早い。 日本語の本でいえば、榊文法とゴンダ文法ぐらいのものである。 ゴンダ文法の虎の巻的存在である斎藤文法がこの点でゴンダ文法と異なる流儀を採用しているのが面白い(というかまた新たな混乱のネタが……)。 英語の本では、ペリーのサンスクリット・プライマーやホイットニーの文典が, 式だ。 上述のように絶対語末形は「連声する直前の形」であり、語形変化表は絶対語末形にして載せるのが原則である、という考えにたてば、式を採用するべきであろう。 しかし私は、この点に関しては, 式のほうが便利だと思うので、当サイトでもあえて式でなく、少数派の, 式を採用している。 というのは、とをにまとめてしまうと不都合な点が一点あるからである。 ととでは一点だけ連声規則が異なるのだ。 具体的にはとのとき。 表にまとめてみよう。
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