1-3 外連声(2)


    ロ.語末と語頭の子音

  1. 二つ以上の子音が語末にあるときは、その最初の子音のみが残ります。
     例。 (東方の)。 (彼は打った)。
  2. 喉音(行音)、 反舌音(行音)、 歯音(行音)、 唇音(行音)の中では、 鼻音() と無声無気音()だけが語末に来ることができます。 それ以外の音はそれぞれの行の無声無気音に変化します。
     例。 (水より)。 (草)の単数主格
  3. 口蓋音は語末ではとなります。 以外にとなることもあります。 は多くの場合はとなりますが、ときどき となることがあります。
     例。 (声)の主格単数 (→16)。同様に、 (花輪)の主格単数 (天までとどく)= (天の王)= (民)= (かわき)= (蜂)= (欲望をかなえてくれる牝牛)= (→19)。
    備考 本規則で説明した子音の変化がいろいろあるのは、 口蓋音と(→48)の来源がいろいろあることと、 両音が相互に転換することがあるためです。
  4. 語根の語頭が有声無気音で語尾が有声有気音またはのとき、 その最後の子音が上記 1718によって無気音に変化したときは、 語頭の有声無気音が有声有気音になります。
     例。 (事情に通じている)= (牛乳をしぼる人)= (葉でおおって)=
  5. 語末のはヴィサルガになります。
     例。 (ふたたび)= (闇)=
  6. 無声音は有声音の直前では有声音になり、有声音は無声音の直前では無声音になり、どちらも鼻音の直前では鼻音になります。
     例。 (彼は地に落ちた)。 (不幸)+(時に)= (不幸の時に)。 (言葉)+(単に)= (→18)(言葉だけで)。 (6月を)。 (そうでない間は)。 (この夫婦は)。
  7. 語頭のは直前の子音の有声有気音に変化します。
     例。 (正しく供えられた)。 (その原因)。
  8. 語頭のは短母音または前置詞(接頭辞) (〜よりこちらに、〜にいたるまで)、または否定詞 (〜するな)の直後に来るときは となります。
     例。 (樹の蔭)。 (おおわれた)。 (彼は離れてはいけない)。
  9. 歯音(行音)は直後の口蓋音(行音)、 反舌音(行音)、またはと同化します。
     例。 (大弓は)。 (彼は失神した)。 (その水は)。 (響く太鼓)。 (つる草のような電光)。 (その尾は)。
  10. 語頭のは歯音(行音)の直後ではとなり、 24に従い歯音のほうも同化してとなります。
     例。 (彼は首を切断した)。 (それを聞いて)。
  11. は有声口蓋音、有声反舌音、の直前では、同類の鼻音となります。 このときに変わることもあります。
     例。 (その人々を)。 (もろもろのドーンバ人を)。 あるいは(彼は彼らをのろった)。
  12. の直前のまたはとなります。つまり と同化してその鼻音となります。
     例。 または(あの世で)。
  13. 以外の鼻音が語末にあり、その前が短母音で、その次が母音のときは、その鼻音は重複します。
     例。 (西に面して座った)。 (その山の上に)。
  14. 語末のとその次の無声口蓋音、無声反舌音、歯音との間には、これらに相当する歯擦音(口蓋音→ 、反舌音→ 、歯音→ )を挿入し、同時に はアヌスヴァーラになります。
     例。 (鹿を射よ、またいのししを、タラクシュ(肉食獣の名)を、水牛を)。 (それらの叫びを)。 (その後彼らは去った)。
  15. 語末のは子音(半母音を含む)の直前ではアヌスヴァーラになります。
     例。 (彼は村へ行く)。 (私は何をすべきだろうか)。 (彼は天に行った)。 (あなたに幸いあれ)。 (私の言葉は聴かれるべきである)。 (ともに)+(彼らは飛び去る)= (彼らはともに飛び去る)。
  16. 語末のまたはは、 無声口蓋音と無声反舌音の直前では、それらに相当する歯擦音 (口蓋音→、反舌音→)となり、 無声喉音、無声歯音、歯擦音、の前ではヴィサルガになります。 無声歯音の前ではになり、のままとなります。
     例。 (彼らは傘を持ってきた)。 (斧とくさびによって)。 (→20) (夫を捨てること)。 (ガチョウとアヒルとミサゴは)。 (目的を達する)。 (あなたの父の)。 は変化せず、 (激しい苦行)。
  17. 以外の母音の次に来ている語末のは、 有声音の直前ではに変わります。 ただしその有声音がである場合は、 語末のほうの()が消失して、その直前の母音が長母音になります。
     例。 (多くの鹿で満ちあふれた)。 (→30) (彼らは美しい林を散歩した)。 (彼は牧牛女とともにたわむれた)。
     例外。感嘆詞 (おお)は、有声音の直前では が脱落します。例。 (アールニよ)。 (友よ)。 (おお判事たちよ)。
  18. 語末のは、有声子音またはの直前ではとなります。 それ以外の母音の直前ではが消滅します。
     例。 (私の敬礼は聖者にいたしましょう)。 (→12) (林の中に去った)。 (月のように)。 (それ以来)。
    備考 代名詞の語幹 (彼、彼女、それ)および (これ)の主格である および (→108) は、 の前でのみ (→33)となり、 すべての子音の前では となります。例。 (彼は言った)。 (この時は)。 (その小児は)。 (この法は)。
  19. 語末のは、すべての有声音の前で消滅します。
     例。 (→20) (天が言った)。 (もろもろの急使は発せられるだろう)。

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