パンチャタントラ1-5(1/9)
ヴィシュヌに化けた織工

ある町に織工と車大工が住んでいた。二人は生まれてからずっと一緒にそこで生活していた。お互いにとても友情にあつく、いつも離れずに一緒に行動し、時をすごしていた。
さてあるとき、その町のある神殿で、大きな行列の祭が始まった。そしてそこは俳優や舞踊者や旅役者でいっぱいで、またいろんな地方から来た人でいっぱいだった。
二人の仲間は歩き回っていると、あらゆる相をそなえたある王女が、メス象に乗り、侍従や宦官にとりまかれ、神を拝みにやってくるのを見た。すると例の織工は彼女を見て、まるで毒にあたったように、またまるで罪を犯して捕り手に捕まえられたように、愛の神の矢で射抜かれて、突然地べたに倒れた。すると、そういう状態になった彼を見て、車大工は彼の苦しみに悩み、親しい人々を使って彼を助け起こして自分の家に運ばせた。そしてそこで医師から指示された種々の冷却療法や、呪術師たちによって、ついにやっとのことで正気に返った。かくて車大工はたずねた。
「おお友よ、君はどうしてこんなふうに突然失神したんだ? 君に起こったできごとを話せ」
彼は言った。
「友よ、それなら私にこっそり聞いてくれ。そうしたら私はすべての自分の秘密を君に語ろう。もし君が私を友人と思うなら、お願いだから火葬のまきを積んでくれ。許してくれ。しかしながら親しさのあまり、君にふさわしくない願いではあるが、どんなことも私はしてしまうのだ」

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