両数
dual
2つを表すときの形。ギリシア語では単に2つだというだけでなく、対になったも
のでなければ使えないらしいが、サンスクリットでは特にそういうことはない。
またアラビア語では「双数」というようだが、サンスクリットでは両数という訳語
が定着している。単数や複数に比べて使用頻度が低いので、うろ覚えでもあまり
実害はないのだろうが、黒田龍之助『はじめての言語学』(講談社現代新書)によれば、
筆者の専攻するスロヴェニア語にも両数があり、「活用パターンが五割増になる。
覚えるのもたいへんだが、使うほうはさらに気が抜けない。わたしの場合、なんと
いっても現地ではカミさんといっしょに行動しているので、両数を使うことが
やたらに多い。さらに不幸なことに、カミさんはスロヴェニア語の専門家でもあるの
で、間違えると叱られる」(p.138-9)んだそうな。サンスクリットでも哲学や仏典では
あんまり出てこないけど、文学ではけっこう出てきそうだ。