パーリ語


サンスクリットに比べて口語に近い、プラークリットと呼ばれるいろいろな言語のうち、 上座部仏教の経典の記述に用いられている言語。 南伝仏教諸国の言語(シンハラ語、ビルマ語、タイ語、クメール語など)に 多大な影響を与え、これらの国の僧侶たちが交流するときは、 お互いの言葉を知らなくてもパーリ語はみんな勉強して知っているので、 パーリ語で会話することも珍しくないんだそうな。
以前は、ブッダが語った言葉はこのパーリ語であり、 だからマガダ国地方の方言だと思われていたが、 今ではそれは否定され、おそらくインド西部の方言だろうといわれている。
特定の文字を持たず、それぞれの国の文字で書かれているので、 知らない人が見ると、パーリ語なのかその国の言葉なのか見分けがつかない。 サンスクリット同様にヨーロッパではローマナイズされた形で読むのが普通。 サンスクリットの場合、今でもインドではデーヴァナーガリーで出版されることが多く、 だから(初等文法はローマ字だけでいいとしても) いずれはデーヴァナーガリーを読めるようにならねばならないが、 パーリ語の場合、多くの文献は Pali Text Societyに よってローマナイズされて出版されているので、 シンハラ文字やビルマ文字などを覚える必要性は少ない。