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の現在形
ウルドゥー語/ヒンディー語の動詞の現在形は、動詞そのものを単独で用いるのではなく、コピュラ動詞と現在分詞(未完了分詞。以下現在分詞と記す)を組み合わせて表現します。
しかしだけは例外で、単独で用いることもできるし、他の動詞と同様にコピュラ動詞と現在分詞という言い方もあります。
以下、1.の文の現在形を、2.の文の現在形をと書きます。もちろん現実にはがになったり、がやになったりしますが、代表してこう書きます。
さて、が単なる事実を述べているのに対し、は、一般的・習慣的な事実を表現します。よく「〜ものである」という訳があてられています。
ここで気をつけるべきことがあります。1.の文をと言ってはいけないことはすぐわかるでしょう。「今日は寒いものである」というのはおかしいですよね。でも2.のほうは日本語では「12月は寒い」と言えてしまうので、ついついてですましてしまいがちだということです。あるいは、日本語では「寒い」「寒いものである」という両方の言い方が可能なので「でもでもどちらでもかまわない」と思ってしまいがちです。しかし、1.をと言ってはいけないのと同様、2.をだけにしてはいけないのです。
は思いのほか広範囲に使います。なにしろちょっとでも一般的・習慣的であればにしてしまいます。もちろんそれは話者の主観で判断していいので、
などというときにもを使うのです。また、
は、普遍的真理ですから当然です。この場合は日本語で「1年は12ヶ月あるものである」という言い方がちょっとおかしくなるので、「〜ものである、なら」というふうに公式化することもできません。注意が必要です。
ところでかねがね気になっているのが、シャールク・カーンが主演した映画()の邦題。この映画は東京国際映画祭でも上映され、日本語字幕のついたDVDも販売されているので日本のインド映画ファンにもおなじみかと思いますが、邦題の「何かが起きてる」というのはどんなもんなんでしょう。日本語の「〜て(い)る」というのは必ずしも現在進行形の意味だけではないとはいえ、適訳とは思えません。英題がSomething is happening.なんだそうで、それをそのまま訳してしまったのでしょうか。たしかにヒンディー語の現在形はコピュラ動詞(英語でいえばbe動詞)+現在分詞(未完了分詞)なんで、英語にそのまま直せばis ---ingではあります。しかしその意味は英語とは違い、上で述べたように「一般的、習慣的事実」です。だから「何かが起きるものである」というのが正訳だと思うのですが、このことを誰も指摘していないのは不思議なことです。
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