ジャータカ6(3/6)
青鷺の本生物語

過去に菩薩は、ある林野を住みかとしてある蓮池の近くに立っているヴァラナの木において、木の神として生まれた。その時、あまり大きくないある池では、夏には水が少なく、そしてここには多くの魚が住んでいた。さて、ある青鷺がその魚たちを見て、「ある方法でこの魚たちをだまして食べよう」と、池のむこうの岸に行って考えながら座っていた。
さて魚たちは彼を見て「旦那様、あなたは何を考えながら座っているのですか」と質問した。 (青鷺)「私はあなたがたのことを考えながら座っているのだ」と。
(魚たち)「旦那様、私たちの何を考えているのですか」と。
(青鷺)「この池では水は少なく餌は少なく暑さは激しい。『今この魚たちはどうなるのだろう』と、あなたがたのことを考えながら座っていたのだ」と。
(魚たち)「旦那様、さて、私たちはどうしよう」と。
(青鷺)「もしあなたがたが私の言葉を実行するならば、私はあなたがた一匹一匹をくちばしでとらえて、五色の蓮華で覆われた、ある大きな池に連れていって放ってやろう」と。
(魚たち)「旦那様、世界のはじまり以来、魚たちのことを考えている青鷺などというものはありません。あなたは私たち一匹一匹を食べようとしていますね」と。
(青鷺)「私を信じるならばあなた方を私は食べないだろう。また、もしあなたがたが池の存在について私を信じないならば、私と一緒に池を見るために1匹の魚を派遣すればよい」と。
魚たちは彼を信じて、「こいつは水でも陸でも大丈夫だ」と、1匹の片目の大きい魚を指名して、「彼を連れて行け」と言った。青鷺はその魚をくわえて連れていき、池に放ち、池全体を見せて、さらに導き返してかの魚たちのいる池に放った。彼はかの魚たちにその池のすばらしさを賞賛した。

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