ジャータカ57(3/3)
猿王の本生物語

♪猿の王よ、あなたのように、この4つの徳を持つ者は、言葉の正直さ、智慧の考察、不断の勇気、自己犠牲(という4つの徳を持つ者は)敵を征服する、と。

[註]この詩において「〜を持つ者は」とは「〜を持つ者は誰でも」という意味。「これらの」というのは、今これから言うべきことを強調してさして言う表現。「4つの法」とは「4つの徳」、「真理」とは「言葉の正しさ」(ウソをつかないこと)。「私の家へ帰ろう」と言って、ウソをつかずに帰ったので、あなた(=菩薩)にはこの「言葉の正しさ」がある。法とは智慧の考察である。「まさにこうなるだろう」と考えてこのようになされたことにおいて、あなたにはこの「智慧の考察」がある。堅固な心とは不断の勇気のことを言っており、あなたにはこの不断の勇気もまたある。喜捨とは自己を布施することであり、あなたは自己をいけにえとして捧げて私の近くに来た。また私が捕らえることができなかったという憎しみが私にはある。「敵を」というのは「敵を」あなたのように、これら4つの徳を持っている人は今あなたが私に打ち勝ったように、彼は自分の敵を征服し打ち勝つ、と。

ワニはこのように菩薩をほめて、自分の住みかへと帰った。

師匠(世尊)はまた「乞食修行者(比丘)たちよ、デーヴァダッタは今(はじめて)私の殺害のために歩き回っているのではなく、以前もまた歩き回った」と言ってこの法話を取り上げて、訓戒と関連させて本生物語と結びつけた。
「その時のワニがデーヴァダッタであり、このワニの妻がバラモンの娘のチンチャーであった。また猿の王はまさに私であった」と。

猿王の本生物語解説第7

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