ヒトーパデーシャ序(2/4)
フロローグ

こう聞いて、教えに到達せず、教えへの怠惰によって、常に道を誤ったことをしている自分の息子たちに恐れを抱いたかの王は、考えた。

♪学識も徳もない子が生まれても何の役にたとうか。また、盲目の目は何の役にたとうか。そういう目は単に苦痛であるのみ。

♪胎児、死者、愚者の3つのうちでは、愚者よりも胎児や死者のほうがましである。 胎児や死者が苦しみをなすのは一回きりであるが、愚者が苦しみをなすのは何度もである。

さらにまた。

♪家系が隆盛してこそ人は生まれたかいがある。人は輪廻するのだから、死者のうちの誰がいったい生まれないことがあろうか。

さらにまた。

♪愚かな息子がたとえ100人いたとしても、徳のある息子が1人しかいないほうがましだ。 月は1つで暗黒を打ち破るが、たとえ星たちが束になっても暗黒を破ることができないようなものである。

♪どんな生まれであっても徳を備えた人は敬われる。たとえ清らかな竹でできた弓でも、悪い弓であればどうしてうまく射られようか。

♪おお、おお、息子よ、何夜すごしてもあなたは勉強しない。まるで泥の中で牛が座っているように、あなたは学識ある者の中に座っている。

私のこの息子たちが徳のあるようになされるには、今どうすればいいだろうか。世間ではこう言うが……

♪「ありえないと決まったものはありえず、あると決まったものは避けられない」という、心配の毒を消すこの薬をどうして飲まないだろうか。

しかし今述べた世間の言葉は、誰であれ怠け者たちの怠惰な言葉である。

♪たとえ運命を考えて(ダメだと思って)も人は自己の努力を放棄すべきではない。 努力しなければゴマ油はゴマから得られないのである。



ヒトーパデーシャ目次へ
リーディング目次へ
サンスクリットHOME
HOME