ヒトーパデーシャ序(3/4)
フロローグ

(王の考えの続き)さらにまた。

♪幸運の女神ラクシュミーは獅子のような努力する人にこそ近づく。臆病者たちは「何事も運命によって与えられているものだ」という。運命を打ち倒して、自分の力で勇敢なことをせよ。努力してたとえ成功しなくても、そこで何の過失があろうか。

♪まことに、片側だけの車輪では車は進まないように、人の努力がなければ運命は成就しない。

またこのようにいう。

♪人々は、前世で行った行為を「それは運命だ」という。それゆえ人は豪勇にたゆまず努力をすべきである。

♪行為は願望だけでは成就せず、着手してこそ成就する。まことに眠った獅子の口にはカモシカは入らない。

♪愚者であっても(よい)着物を着ていれば仲間の中で美しく輝いて見える。また何も語らなければ愚者は輝いて見える。

こう考えて、王は賢者たちを呼び集めた。王は言った。 「おお、おお、賢者たちよ。聞け。今、処世術に関する教えや教訓によって、絶えず邪道に陥り教えを知らないわが息子たちの再生をさせるにふさわしい、そういう学識ある者は誰かいないか? なぜならば

♪ガラスでも黄金に触れればエメラルドのような輝きが得られる。 同様に、よい人との交際によって愚者は賢くなる。

またこうも言われる。

♪友よ、劣った者と付き合うとまことに理性が失われる。 同等の者たちと付き合うと同等になり、優れた者たちと付き合うと優れた者となる」 王がこういうと、ヴィシュヌシャルマンという名の、あらゆる処世術の教えの真理に精通している学者が、まるでブルハスパティ神のように語った。


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