ヒトーパデーシャ1-2(1/4)
老いた虎と旅人

私はかつて、南の森へ行って次のようなことを見た。池の岸でクシャ草を手にして沐浴をしていたある年老いた虎がこう言った。
「おお、おお、旅人たちよ。この金の腕輪を持っていきなさい」
その言葉を聞いても、誰もみな恐がって彼のそばへ行って腕輪を受け取ろうとしなかった。すると、ある旅人が貪欲さに引きずられて次のように考えた。
「幸運にもこのようなことに出会った。しかし、自分を危険にさらすこの状況では、進んで取るべきではない。そこで次のようにも言われている

♪たとえ好ましいものを得られるとしても、それが好ましくない者からであれば、よい状況は生まれない。

しかし、およそ利益の獲得において前進するところでは、まさに危険があるものである。また次のようにも言われている。

♪危険を生じなければ人は幸運を見ることはない。危険を生じて、さらにもしその人が生きていれば、幸運を見ることができる。

まず彼を調査してみよう」
旅人は声高に言った。「あなたの腕輪はどこにあるのか?」
虎は手を伸ばして(腕輪を)見せた。旅人は言った。
「人殺しをするお前にどうして信頼がありえようか」

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