パンチャタントラ1-5(4/9)
ヴィシュヌに化けた織工

王女もまた、ガルダ鳥に乗った、4つの腕があり、ヴィシュヌの武器と装身具をつけた男を見て、 驚いて寝床から起き上がって言った。
「尊者よ、私は虫のようにけがらわしい女であり、尊者は三界を清める尊敬されるべき方ですから、こんなふさわしくないことをしてはいけません」
織工は言った。
「いとしい人よ、あなたの言うとおりだ。しかしながら私の妻の一人、ラーダーはかつては牛飼いの家の出身であり、あなたはそのラーダーの化身なのだ。それで私はやって来た」
こう言われて王女は言った。
「尊者よ、もしそれならば、私の父に求婚してください。父もまたしかるべき準備をして、私をあなたに与えることでしょう」
織工は言った。
「いとしい人よ、私は人間には見えないし、まして会話などはしない。お前はガンダルヴァ神の方式である自由恋愛結婚によって自己を捧げよ。さもなければ呪いをかけてお前の父を一族もろとも灰にしてやろう」
こう言ってガルダ鳥から降り、左手で彼女をつかまえて、恐れ、恥じらい、ふるえている彼女を寝台に導いた。そしてそのまま夜があけるまで、ヴァーツヤーヤナの説いた方法で彼女と寝て、夜明けに気づかれずに帰って行った。
こうして彼はずっと彼女に仕え続け、時が過ぎた。


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