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パンチャタントラ1-5(9/9)
ヴィシュヌに化けた織工
さて、ガルダが「承知しました」と引き受けたので、聖なる尊者ヴィシュヌは織工の身体に入った。そこで聖なる威厳によって、ほら貝と輪と棍棒と弓の目印をつけた、空中にいるかの織工は、たちまちのうちに、まさにたわむれているかのように、すべての武士たちをことごとく無力にした。そこでかの、自分の軍隊にかこまれた王によって、彼らすべての敵たちが征服され打ち倒された。そして世界中に、このヴィシュヌであるむこの威力によって、すべての敵が打ち倒されたといううわさが生まれた。織工もまた、彼らが滅ぼされたのを見て、狂喜した心で天空から降下した。
王、大臣、町の住民など、そこにいるすべての人々が、彼が町に住んでいる織工であると気づき、「これはどうしたことだ」と質問した。そこで織工もまた、最初からのすべてのこれまでの出来事を話した。そこで、織工の大胆な行動に心をひかれ、敵を殺戮したことで威光を手に入れた王は、すべての人の前で、かの王女との結婚式をあげ、そして土地を与えた。織工もまた王女と一緒に、五種類の、人類の価値である感覚の対象の幸福を享受しながら、時を過ごした。
それゆえに言う。
♪よく用いられた詐欺については、梵天さえも気づかない。織工はヴィシュヌの姿で王女をわがものとした。
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