Since 2004/3/6 Last Updated 2006/5/31
昔は全然なかったけど、今はサンスクリットの音声教材がいくつかある。
一つは『サンスクリット・トレーニング』のIV(CD2枚)。
もう一つはカナダから出ている『Sanskrit - An Easy Introduction to an Enchanting Language』(テープ5本)。
このサイトを立ち上げるために資料として買い揃えたけど、前者が8800円、後者が東京・神保町の穂高書店で、(詳しい値段忘れたけど)16000円でおつりが来たかな。
音声教材だから仕方がないとはいえ、高いよね。
どちらもアスカ書店の『般若心経を梵語原典で読む』の中で絶賛されているんで、高いなとは思いつつ買ったんだが、どちらも面白い。 今ではすっかりカーステレオの愛聴品になっている。 死んだ言語、文字で読むだけの言語の音声教材なんて必要ないとまんどぅーかは思っていたけれど、もっと早く手に入れるべきだったな。 サンスクリットは決して死語ではなく、少なくとも(まんどぅーかには無縁だが)学会で発表するときは音読しなきゃいかんし、インドのパンディットたちは口に出してしゃべってる。 それから、今はなくなっちゃったみたいだけど、 ドイツのインターネットラジオサイトDW-WORLD.DEじゃ、 サンスクリット放送まであったしね。 でも音声教材の効用はもっと切実なところにある。 まんどぅーかは一応本業は高校の国語の教師であるが、 かねがね生徒たちには、「ものを覚えるときは、目で見るだけでなく、 手で書いてみる、音読してみる、聞いてみる…五感のすべてを働かせなきゃ覚えないぞ。 もっともニオイだけは使わないけどな」なんて言っている。 まさにその通りなんで、変化表にしても例文にしても、目で見てるだけじゃ覚えられない。 何度も耳で聞き、しゃべってみることではじめて覚える(わき道になるけど、 キーボードで打つというのは、意外に記憶には役に立たないね。 やっぱり手で書かなきゃダメみたい)。 そのための教材として、音声教材はぜひほしい。 古典語であっても、変化表と例文を読んだテープは必要だね。 難点をいえば、『サンスクリット・トレーニングIV』のCD.2は使いづらい。変化表の読み方は、インドの順番(格や人称ごとに、単→両→複)とヨーロッパ(や日本)の順番(単数・両数・複数ごとに、格や人称の順番)とがあるんだが、それを左右のチャンネルで同時にしゃべっているのでうるさいことこの上ない。昔のアンプは左右どちらかの音をしぼることができたけど、今のカーステレオやウォークマンじゃそれは面倒(ないし不可能)なのよ。それからMDに吹き込んでMDウォークマンで片方の耳だけで聴いてみたけど、もう片方の音がかすかに(しかしハッキリ)聞こえてしまってうるさい。こういうのはどっちか一方にしてほしいな。本の中では「インドの順番で読もう」なんて言ってるんだから、それに統一すりゃいいじゃん。 [2006/5/26、5/31付記] あとは、音声の話題としては、菅沼『サンスクリットの基礎・下』のp.633に紹介されている、 『東方』第3号に収録された2つの論文(中村元『サンスクリットの発音と現代における表記法』、 宮元啓一『サンスクリット語の片仮名表記について』) (この2つのリンクは「友の会」会員専用です)はとても面白く、参考になろう。 文字の発音については、違う言語であることを承知のうえで、 ヒンディー語の教材も参考になる。 とくに母音関係の話(aの読み方、短母音と長母音の長さ、aiなどの読み方)、 反舌音や有気音の読み方は参考になると思う。 そういう音声教材が入手できない場合は、やむを得ない、 自分で作ってしまうという手がある。 自分の声をテープで聞くのははずかしいし、発音の正確さは全く期待できないが、 記憶用とわりきって自分で吹き込み、何度も聞くのである。 変化表を吹き込むときは、ヨーロッパの縦順だと、 両数の具格、為格、従格みたいに共通するところはどうしても省略しがちになるので、 ここはインド式の横順のほうがいいかもしれない。 それから単語を羅列して読むくらいなら例文のほうがいい。 サンスクリットのように屈折の多い言語では、単語をそのまま覚えても仕方なく、 文として覚えたほうがいい。 その際、日本語の意味も一緒に吹き込んでおくこと。 そうすればいちいちテキストを持ち運ぶ必要がなくなり、車の中や歩きながらでも勉強できる。 実際にゴンダ文法の練習題1の文を全部吹き込んでみたのがこれ(→音声、本文)。 お笑いください。 |