ヒトーパデーシャ・プロローグ(1/4)
ランマンのリーダー2による
語(連声前)
説明
語義
接
さて
名男単主
親切な助言
日本語訳
…… ヒトーパデーシャ(親切な助言)
備考
……
はこのように書物の最初に用いられることが多い。無理に訳せば「さてここに〜が始まる」というところだろうか。
[詩]
語(連声前)
説明
語義
←
過分男単主
聞かれた
名男単主
ヒトーパデーシャは
代男単主
この
名中単主
[処]への熟達は
過分幹
磨き上げられた
名女単処
言葉(において)
日本語訳
…… (次を参照)
備考
…… 次まで見てはじめて文の構造がわかる。
[詩]
語(連声前)
説明
語義
名女複属
言葉の
副
いたるところ
名中単主
多様性
名女幹
処世術
名女単対
知識を
現単3
与える
接
そして
日本語訳
…… このヒトーパデーシャを学ぶことは、磨き上げられた表現への熟達と、 いたるところで通用する言葉の多様性と、 処世術の知識とを与える。
備考
…… 主語は前半句の「この学ばれたヒトーパデーシャ」、動詞が「与える」で、 目的語は3つあり、それが最後の
で結ばれている。
[詩]
語(連声前)
説明
語義
副
不老不死の者のように
形→名男単主
賢い者は
名女単対
知識を
名男単対
財産を
接
そして
能願単3
考えるべし
日本語訳
…… 不老不死の者(=仙人、神)のように、賢人は知識と富(を増すこと)を考えるべきである。
備考
……
[詩]
語(連声前)
説明
語義
←
過分男単主
握られた者は
接
まるで〜のように
名男複処
髪の毛において
名男単具
死によって
名男単対
宗教的義務を
能願単3
行うべし
日本語訳
…… 死神に髪の毛を捕らえられた人のように、宗教的義務を行うべきである。
備考
……
[詩]
語(連声前)
説明
語義
形幹
すべての
名中複処
財産において
名女単主
学問が
副
こそ
名中単主
財産が
能完複3
彼らは言った
形中単主
最高の
日本語訳
…… すべての財産の中で学問こそが最高の財産であると言われている(=人々は言った)。
備考
……
[詩]
語(連声前)
説明
語義
名中単従
取り去られないことから
名中単従
値がつけられないことから
名中単従
不滅であることから
接
そして
副
常に
日本語訳
…… (学問は)常に、奪われることもないし、値がつけられないほど貴重だし、不滅だからである。
備考
……
[詩]
語(連声前)
説明
語義
名女単主
学問は
名中単主
刀(は)
接
そして
名中単主
経典(は)
接
そして
数女両主
二つの
名女両主
学問は
名女単為
獲得のための
日本語訳
…… 武術の学問と経典の学問とは、獲得することのできる二つの学問である。
備考
…… 文法的にはいろいろ解釈ができようが、とりあえずランマンは、 この日本語訳のように解釈している(p.317にあるp.17への註3)。 つまり、
は同格、次の
の前にも
を補い、 「武術の学問と経典の学問は」がこの句全体の主語。 述語は
(二つの学問である)であり、 それに
が為格で「〜するための」のような副詞的意味でかかっているというわけである。
[詩]
語(連声前)
説明
語義
名男単為
はじめは
←
動形男単為
笑われるべき
名中単処
老年において
数女単主
第二のものが
受現単3
敬意を表される
副
常に
日本語訳
…… 最初のほう(武術)は年を取ると嘲笑されてしまう。二番目のほう(経典の学問)は常に敬意を表される。
備考
…… 最初の二語が為格なのは、辻文法p.277冒頭の「帰着するところを示す」用法だろう。
[詩]
語(連声前)
説明
語義
接
〜ので
形中単処
新しい
名中単処
容器において
←
過分男単主
付着した
名男単主
装飾は
副
ない
副
すっかり様変わりして
能願単3
あるべし
日本語訳
…… 新しい容器についた装飾は、様変わりしてしまうことはない(ように、若い頃の学問は消えることがない)ので、
備考
…… 「素に入れて焼く前の土器。これに模様を刻んで焼けばその模様は消えることがない」(金倉円照、北川秀則訳『ヒトーパデーシャ』p.266)
[詩]
語(連声前)
説明
語義
名女幹
話
名中単具
詐術によって
名女単主
処世術が
接
それゆえに
副
ここで
名動受現単3
語られる
日本語訳
…… それゆえにここでは、寓話という詐術によって処世術が語られる。
備考
……
[詩]
語(連声前)
説明
語義
名男幹
友
名男単主
獲得
名男幹
友
名男単主
裂くこと
名男単主
戦争
名男単主
同盟
副
まさに
接
そして
日本語訳
…… 友人の獲得と、友情の決裂と、戦争と、同盟とこそが
備考
……
[詩]
語(連声前)
説明
語義
名中単従
(書名)から
副
そのような
形男単従
他の
名男単従
書物から
絶
引いて
受現単3
書かれる
日本語訳
…… パンチャタントラやそれに類する他の書物から引用されて書かれる。
備考
……
語(連声前)
説明
語義
能現単3
ある
名男→名女幹
ガンジス川
名中単処
岸において
名男幹
(都市名)
名中→形中単主
名前
名中単主
都市が
日本語訳
…… ガンジス川の岸にパータリプトラという名の都市があった。
備考
……
語(連声前)
説明
語義
副
そこに
形幹
すべての
名男幹
主
名男幹
徳
←
過分男単主
備えた
名男単主
(人名)
副
〜とよばれる
名男単主
王が
能過単3
いた
日本語訳
…… そこに君主としてのあらゆる徳を備えた、スダルシャナと呼ばれる王がいた。
備考
……
語(連声前)
説明
語義
代男単主
その
名男単主
王は
副
ある時
代男単具
誰によって
接
(不定)
←
名男→名動受現分中単対
暗唱されているのを
名男幹
詩
名中単主
2つが
能完単3
聞いた
日本語訳
…… ある時その王は、誰かが2つの詩を暗唱しているのを聞いた。
備考
……
[詩]
語(連声前)
説明
語義
形幹
多くの
名男幹
疑い
形中単主
〜を破壊する
形幹
見えない
名男単属
対象(の)
形中単主
[属]を見せる
日本語訳
…… 多くの疑いを破壊し、見えない対象を見せる〜
備考
……
次句の中性名詞
(学問)にかかるので中性単数になっている
はもともと
+
(遠くの+目→見えない)。複合語なのでローマナイズの場合でもアヴァグラハを示す一重引用符の前にはスペースは入らない。デーヴァナーガリーのときはアヴァグラハは表記されないのが普通。
[詩]
語(連声前)
説明
語義
形→名男単属
すべての者の
名中単主
目(が)
名中単主
教えが
代男単属
〜する者の
副
ない
能現単3
ある
形男単主
盲目の
副
まさに
代男単主
彼は
日本語訳
…… すべての者の目である教えを持たない人は、まさしく盲目である。
備考
…… 中心構造を連声ぬきで示すと
(ある人は教えを持たない。そういう人はまさに盲目だ)という関係詞を使った文。前半がわかりにくいかもしれないが、サンスクリットで「AはBを持つ」を表現するときは、「AのBがある」、つまりAを属格にしてBを形式主語として述語動詞として
などを使うことを想起されたい。で、前半の「教え」に前句の内容およびこの句の最初の2語「すべての者の目」がかかっているわけである。
[詩]
語(連声前)
説明
語義
名中単主
若さは
名中幹
富
名女単主
繁栄は
名中単主
権勢は
名女単主
認識不足は
日本語訳
…… 若さ、富の繁栄、権勢、認識不足、
備考
……
[詩]
語(連声前)
説明
語義
形→名中単主
一つ一つが
接
もまた
名中単為
不幸のため
代中単主
何
副
さらにまた
接
一方
形→名中単主
4つの部分からなる
日本語訳
…… (前句の4つは)みな1つ1つが不幸に帰着する。一方、この4つをすべて持っているものはさらに何をかいわんや。
備考
…… 9同様に、述語が為格の場合、辻文法p.277冒頭の「帰着するところを示す」用法となる。