法華経・方便品第二(1)
デーヴァナーガリーはBibliotheca Buddica 10. のものをそのまま1行ずつ用いた。 (p.29 1〜6)
語(連声前)
説明
語義
名男幹
巧妙な方法
名中幹
便利
名男単主
章
名中単主
名
数男単主
第二の
日本語訳
…… 「巧妙で便利な方法の章」という名の第二章
語(連声前)
説明
語義
接
すると
接
さて
名男単主
世尊は
形男単主
記憶を持つ
形男単主
しっかりした意識のある
副
かくて
名男単従
深い瞑想から
(←
)
絶
立ち上がって
形男単対
健康の
日本語訳
…… さてそこで世尊はしっかりとした記憶を持ち、 深い瞑想からおだやかに立ち上がって、
備考
…… クーマラジーヴァ(鳩摩羅什。以下K)訳「爾時世尊、従三昧、安詳而起」。 ただしK訳は必ずしも梵文にうまく対応しない。
は標準語では
。
は対格だが副詞的に使っているのだろう。
語(連声前)
説明
語義
名男単対
(人名)(を)
名動反現単3
語りかける
副
過去
形中単主
深い
名男単呼
(人名)よ
形中単主
見るのが難しい
形中単主
知るのが難しい
名男幹
仏
名中単主
知識
名男複具
如来たちによって
形男複具
ふさわしい(阿羅漢である)
日本語訳
…… シャーリプトラに語りかけた。
シャーリプトラよ、 仏の知識は深くて、見るのが難しく知るのが難しく、〜
備考
…… K訳「告舎利弗、諸仏智慧、甚深無量、其智慧門、難解難入」。 末尾2語は次部へ。
語(連声前)
説明
語義
形幹
正しい
(←
)
過分男複具
目覚めによって
(←
)
過分中単主
目覚め
動形中単主
理解しにくい
形幹
すべての
名男幹
声聞
名男幹
縁覚
名男複具
仏によって
名中単主
それは
名中単属
何の
前
ため
形幹
多くの
名中幹
仏
名女幹
一千万
日本語訳
…… 阿羅漢とよばれる如来たちにとって目覚められた覚りは、 すべての声聞・縁覚の仏たちにとっては理解しにくい。 それはなぜかというと、〜
備考
…… K訳「一切声聞、辟支仏、所不能知、所謂者何」。
以降は次部分へ。
語(連声前)
説明
語義
名中幹
千億
名中幹
百
名中幹
千
(←
)
過能分男複主
取り巻いた、近づいた
接
何となれば
名男単呼
(人名)よ
名男複主
如来たちは
現分男複主
阿羅漢である
形幹
正しい
(←
)
過分男複主
目覚めた
形幹
多数の
名男幹
仏陀
日本語訳
…… (如来たちは)何千万億もの多くの仏に近づいたからである。 シャーリプトラよ、なぜかというと、 正しく目覚めた阿羅漢である如来たちは、
備考
…… K訳「仏曾親近、百千万億、無数諸仏」あたりに相当。
以降は次部分へ。
数は、前文
以降
までで「何千万億もの」と訳しておく。
過去分詞(末尾は
)+
は、 過去分詞+
の俗語形で、 過去能動分詞を作る。
語(連声前)
説明
語義
名女幹
一千万
名中幹
千億
名中幹
百
名中幹
千
形幹
実行された(修行)
(←
)
過能分男複主
実行した
形女単処
最もすぐれた
形幹
正しい
名女単処
悟りにおいて
形幹
遠い
(←
)
過分男複主
来た
(←
)
過分幹
なされた
名中→形男複主
力
日本語訳
…… (如来たちは)何千万億もの多数の仏たちが実行した修行を実行し、 最も優れた正しい悟りにおいて、 遠くまで随行し、力をつくして、
備考
…… K訳「尽行諸仏、無量道法、勇猛精進」あたりに相当。
語(連声前)
説明
語義
(←
)
形幹
驚くべき
名男幹
法
(←
)
過分男複主
体得した
形幹
理解しにくい
名男幹
法
(←
)
過分男複主
体得した
形幹
理解しにくい
名男幹
法
(←
)
過能分男複主
許す
日本語訳
…… 驚くべき法(人の道。以下同)を体得し、 理解しにくい法を体得し、 理解しにくい法を許した(〜に通暁した)(からである)。
備考
…… K訳「名称普聞、成就甚深、未曾有法」あたりに相当。
は、
(驚くべき)の従格に
の過去分詞がついた形の形容詞で、 意味は
と変わりない。 わずわらしいので語彙集登録せず、
で代用した。