[ウルドゥー語/ヒンディー語ページ文法超特急・6]

文の作り方

Since 2004/9/13 Last Updated 2004/9/29


  1. 語順
  2.  おおむね日本語と同じで、 動詞が最後に来ます。 英語の前置詞にあたるものは名詞のあとにつくので後置詞とよばれ、 まるで日本語の助詞のように使われます。 そういう点も日本語の語順に似ています。 ただし、否定詞の位置が異なるなど細かい点ではいろいろ相違もあります。
    あの 何かの(=どんな) ない 手に入る
    あの布はどんな店でも手に入らない。

  3. 主語のない文
  4.  上記のようにウルドゥー語/ヒンディー語の語順は日本語に似ており、 「〜に」「〜を」「〜の」「〜から」などの名詞の格も、 後置詞で表現する点が、日本語の助詞と似ています。
     主語のあとには何もつけません。
     ただし、ウルドゥー語/ヒンディー語では、日本語同様、 わかりきったものはよく省略されるので、主語が省略されることもしばしばです(次の例の後の文)。
    • (私のホテルはあそこです。そんなに遠くありません)
     また、それとは別に、ウルドゥー語/ヒンディー語では、 本当に主語のない文があります。 これは次のように、 内容は普通の文だが形式的には受身的意味である構文に多く見られます。 こういうとき、述語動詞の性・数・人称は意味上の目的語(=形式的な主語)に一致することになります。 形式的な主語すらない場合には、3人称単数男性形になります。 次の例は、意味上の主語は(3人称複数扱い)ですが、 述語動詞が3人称複数になっていないことに注意してください。

    • あなたはパキスタン料理が好きだ(←あなたにはパキスタン料理が好かれている) ※述語動詞(3人称単数男性形)に一致。

    • あなたはホテルがどこにあるか知ってますか?(←あなたには〜知られてますか) ※最初のは、形式的主語がないので3人称単数男性形になっている。

  5. 名詞・形容詞が述語となる文(名詞文)
    1. 「私は男です」「この本は面白い」のように、 名詞や形容詞が述語となる文(以下「名詞文」という)では、 主語+述語+となります。 コピュラ動詞(つなぎ動詞、いわゆるbe動詞)のは省略できません。
    2. 否定を表すには、の前にをつけます。 このときはが省略されることがあります。
    3. 単純な疑問文を表すには、文頭にをつけます。 答えは、「はい」が、「いいえ」がです。 否定疑問文に対する答えは、英語同様、 「いいえ」がになるのに注意してください。
    4. 「何」、「誰」などの疑問詞を使う疑問文でも、 疑問詞を文頭に持ってくる必要はなく、 日本語の順序で言えばOKです。

  6. その他のの使い方
    1. は「〜である」だけでなく、英語同様に「〜がある」という意味もあるので、 「〜がある」「〜がない」という文もを使って表します。 また、have動詞にあたる動詞がないので、 「〜を持つ」は「〜がある」という言い方にアレンジしてを用いて表現します。 以下の文で、の性・数は、…部分に一致します。 …部分は意味的に目的語っぽいところがありますが、形式的には主語なので、 の性・数は、…部分と一致するのです(上述の2「主語のない文」を参照)。
    2. 場所+…は、「[場所]に…がある」という言い方になります。 特に、〜は、「〜に…がある」という言い方になります。
    3. は、「〜に…がある」→「〜は…を持つ」という言い方になります。
    4. は、「〜の…がある」→「〜は…を持つ」「〜には…がある」という言い方になります。主に親族や身体の場合に使います。
    5. は、「〜に…がある」→「〜は…を持つ」「〜には…がある」という言い方になります。主に親族や身体の場合に使います。
    6. は、「〜にとって…だ」→「〜は…を持つ」「〜は…と思う」という言い方になります。主に抽象的なものや精神作用の場合に使います。

  7. 現在形
    1. 一般動詞が述語になる文(動詞文)の現在形は、現在分詞+の現在形で表します。
    2. 現在分詞は主語の性・数に、は主語の人称に一致します。 ただし一人称複数の場合は、主語が女性であっても現在分詞は男性複数形を用います。
    3. 否定の場合は現在分詞の前にをつけます。 このときはを省略するのが普通であり、 その際は女性複数形はではなくと変化します。

  8. 過去形
    1. 名詞文の過去形はを過去形にするだけです。
    2. 動詞文の過去形は、過去分詞を用います。をつけてはいけません(つけると完了形になります)
    3. 過去分詞は過去「受動」分詞なので、 他動詞の場合は形式的に受身文になります。 つまり「私は本を読んだ」は「私によって本は読まれた」と表現することになります。 そこで意味上の主語を能格にし(をつける)、 述語の過去分詞の性と数は、形式的な主語=意味上の目的語と一致することになります。 形式的な主語が存在しないときは、男性単数にします。
    4. 自動詞の場合は過去分詞の性と数は主語と一致しますが、 現在形同様、一人称複数の場合は、主語が女性であっても男性複数形にします。

  9. 未来形
    1. 不定未来形と未来形とがあります。詳しくは「動詞の変化」を見てください。なお、不定未来形は他の文法書では「仮説法現在形」「叙想法」「接続法」などと書いてあることがあります。

  10. 命令形
    1. 命令形の形自体は「動詞の変化」を見てください。
    2. 禁止は命令形の直前にまたはをつけます。

  11. 完了形
    1. 過去分詞+の現在形で、現在完了形になります。
    2. 過去分詞+の過去形で、過去完了形になります。
    3. 過去分詞+の不定未来形で、仮定現在完了形(〜したかもしれない)になります。
    4. 過去分詞+の未来形で、未来完了形(〜しただろう。未来といっても実際は過去の推量)になります。
    5. 以上、他動詞の場合はやはり過去形同様に、意味上の主語は能格にし、過去分詞とは形式的主語=意味上の目的語の性・数・人称に一致します。形式的主語が存在しない場合は、男性単数3人称になります。

  12. 進行形
    1. 動詞語幹+の現在完了形(=過去分詞+現在)で、現在進行形になります。
    2. 動詞語幹+の過去完了形(=過去分詞+過去)で、過去進行形になります。
    3. 現在分詞+の現在形/過去進行形/未来形で、動作が熱心に行われつつあることを示します。
    4. 現在分詞+で「〜し続けている」を表します。
    5. 過去分詞(不変化)+で「〜しようとしている」を表します。
    6. 現在分詞+の未来形で、未来進行形(〜しているだろう)になります。

  13. 受動態
    1. 過去分詞+で表します。英語のbyにあたるのは、(〜の手で)、(〜で)ですが、そもそも行為者が明らかなときは受動態を使いません。

  14. 条件法
    1. 仮定句では、結果句ではを用います。
    2. 事実に反する仮定の場合、…現在分詞、…現在分詞、という形で表現します。
    3. 通常の仮定の場合、結果句では不定未来形または未来形を用います。 仮定句でも不定未来形または未来形を用いますが、場合によっては現在形や過去形も用います。


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