ジャータカ208(2/3)
ワニの本生物語

菩薩はワニを信用して「よし」と同意して、そして「それなら行け。私の背に乗れ」と言われて、ワニに乗った。
ワニは少しばかり連れていった後、水に沈ませた。
菩薩は「友よ、水に私を沈めるとは、どうしたことだ?」と言った。
(ワニ)「私はあなたを、正義や善性において乗せていくのではない。しかし私の妻があなたの心臓の肉に欲望を起こし、彼女に私はあなたの心臓を食べさせたいのだ」と。
(菩薩)「あなたはよく語ってくれた。もし私たちの腹に心臓があるならば、枝の先端を歩いていてひどく傷ついてしまうだろう」と。
(ワニ)「それならあなたがたはどこに置くのか」と。
菩薩は近くに、熟した丸い果実がいっぱいなっている一本のイチジクの木を見て、
(菩薩)「見よ、私たちのこれらの心臓が、このイチジクの木にかかっている」と。
(ワニ)「もし私に心臓をくれるなら、私はあなたを殺すまい」と。
(菩薩)「それならここに私を連れて行け、私はあなたに木にかかったものをあげよう」と。
ワニは菩薩をつかんでそこへ行った。菩薩はワニの背から飛び上がり、イチジクの木にすわり、
「友よ、愚かなワニよ。これら生き物の心臓ってやつが木の先端にあると考えたとは、あなたは愚かだ。私はあなたをだました。あなたはさまざまな果物を持っているのがよい。あなたの身体は大きいが、しかし知恵はない」と。
こう言って、この意味を説明してこの詩句を言った。


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