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パンチャタントラ1-5(6/9)
ヴィシュヌに化けた織工
かくて夜にこっそりと、王は王妃を伴って露台に出て、天空に浮いたように見える、ガルダ鳥に乗って、ほら貝と輪と棍棒と蓮華を手にし、前に述べたような目印をつけた彼が、天から降りてくるのを見た。そこで王は、自分がまるで甘露の洪水に水浸しにされたように思って、王妃に言った。
「愛する人よ、あなたと私は世界一の幸福者だ。なぜなら子がヴィシュヌに愛されたのだから。さあ、私たちの望みは何でもかなうぞ。今や婿殿の力によってすべての土地が意のままになるだろう」
こう決断して、すべての隣国の王たちに対して境界侵犯をした。隣国の王たちもまた、王が国境侵犯をなしているのを見て、よってたかって王と戦争をした。
こうしている間に、かの王は王妃の口を通して彼の娘に言った。
「娘よ、おまえは娘として、すべての王がこのように私と戦争をしているのがふさわしいと思うか。さあ、お前は今日夫に、私の敵たちを滅ぼしてもらうように知らせなさい」
そこで王女は夜に、かの織工にうやうやしく言った。
「尊者よ、あなたが婿としているのに、私の父が敵たちに征服されてしまうのはふさわしくありません。あなたの恩恵で、彼らすべてを滅ぼしてください」
織工は言った。
「いとしい人よ、これら、あなたの父の敵たちは、まことにとるにたりないやつらだ。信用しなさい。ほんの一瞬でスダルシャナの輪でこなごなに砕いてやろう」
さて時がたつにつれて、すべての国土が敵によって占領され、かの王の土地は、単にわずかに城壁で囲まれた部分のみとなった。
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