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パンチャタントラ1-5(7/9)
ヴィシュヌに化けた織工
王国が滅亡寸前であるにもかかわらず、織工がヴィシュヌの姿をしているのだと知らない王は、いつもいつも特別に、しょうのうや沈香やじゃこうなどのよい香りの類と、さまざまな着物、食べ物、飲み物とをつかわして、王女の口を通して彼に言った。
「尊者よ、夜明けにはきっとここは滅亡するだろう。牧草も薪もなくなってしまい、多数の人が攻撃を受けて身体が消耗してしまい、そして多くの人が死にました。この事情をご存じになり、今こそふさわしいことをなさってください」と。
それを聞いて織工も考えた。
「もしここが滅亡したら、私はこの女と離別することになるだろう。それゆえガルダ鳥に乗って武装した私を虚空に見せよう。おそらくは私をヴァースデーヴァ(ヴィシュヌ)だと思って彼らは恐れをいだき、王の兵士たちに殺されるだろう。そしてこういわれている。
♪たとえ無毒の蛇も、頭を大きくすべきだ。毒があろうとなかろうと、蛇の頭がふくらむと恐ろしい。
あるいは私がここを守る努力をして死ぬかもしれない。しかしそれは何もしないよりは好ましい。そしてこういわれている。
♪牛のため、バラモンのため、主人のため、あるいは女のため、土地のために生命を捨てる者の世界は不滅である」
こう決断して、夜明けに歯を磨いて彼女に言った。
「いとしい人よ、すべての敵が滅ぼされるまで、私はお供えの食物も飲み物も味わうまい。言うまでもなく、あなたとの交際もそのときまでしない」
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