ヒトーパデーシャ1-3 (5/6)
鹿とカラスとジャッカル ランマンのリーダー4による
[詩]
語(連声前)
説明
語義
名男単主
罪
副
ない
代単属
私の
能現単3
ある
接
〜と
副
ない
代中単主
これは
名男幹
信頼
名中単主
理由
日本語訳
…… (カラスの引用する詩)「私の罪はないということは、他人を信頼する理由にはならない」
備考
……
[詩]
語(連声前)
説明
語義
受現単3
〜がある
接
なぜなら
形→名男複為
有害な者たちに
名中単主
恐怖が
形→名男複属
徳のある人たちの
接
もまた
日本語訳
…… (カラスの引用する詩)「なぜなら、徳のある人たちですらも、悪人たちに対して恐怖があるからだ」
備考
……
の
は「知る」(2類)ではなく「発見する」(6類)のほう。受動態では「発見される」というところから「〜がある」という意味になる。ちなみに主語は
(恐怖が)。
[詩]
語(連声前)
説明
語義
形中単処→副
見ずに
名男単対
他人の利益を妨害する者を
形中単処→副
目の前に
形→名男単対
やさしい言葉を語る者を
日本語訳
…… (カラスの引用する詩)「他人の利益を妨害する者を無視し、やさしい言葉をかけてくれる者だけを応対し」
備考
……
[詩]
語(連声前)
説明
語義
←
使能願単3
除外すべし
形男単対
このような
名男単対
友人を
名中幹
毒
名男→形男単対
壷
名中幹
乳
名中→形男単対
表面
日本語訳
…… (カラスの引用する詩)「注ぎ口の部分は乳だが毒の入った壷のような友人を避けるべし」
備考
……
はふつう中性だが、ここでは
がかかっている形から男性とした(もし中性ならば
にならず
となる)。ただしこの形容詞は
という形もあり、それならば中性単数対格ともとれる。その場合は
も
も中性に変更する。
語(連声前)
説明
語義
形中単処→副
長く
絶
ため息をついて
日本語訳
…… カラスは長いため息をついて、
備考
……
語(連声前)
説明
語義
間
おい
名男単呼
詐欺師
代中単主
何が
代単具
お前によって
形幹
悪い
名中単具
行為によって
←
過分中単主
なされた
接
〜であるから
日本語訳
…… (カラス)「おい詐欺師、お前は悪業によって何をやった? なぜなら」
備考
……
[詩]
語(連声前)
説明
語義
←
使過分男複属
話しかける
形中複具
甘い
名中複具
言葉によって
副
偽って
名男複具
奉仕によって
接
そして
←
過分男複属
意に従わせられた
日本語訳
…… (カラスの引用する詩)「甘い言葉によって(うちとけて)話しかけ、偽りの奉仕によって意に従わせられ、」
備考
…… 一見「話しかける者たちの甘い言葉によって」のような意味かと思うがそうではない。二つの複数属格(および次句冒頭の二つの複数属格)は次句の
にかかる。つまり、「悪者の甘い言葉や偽りの奉仕によってすっかりだまされて、悪者に信頼を寄せて頼ってくる者たちが……」ということになる。
[詩]
語(連声前)
説明
語義
形男複属
期待に満ちた
←
能現分男複属
信頼している
接
そして
名男単処
世界において
副
どうして
形男複属
求める者たちにとって
←
←
使動形中単主
欺かれるべき
能現単3
ある
日本語訳
…… (カラスの引用する詩)「期待に満ち、信頼して求める者たちがこの世でどうして欺かれるべきだろうか」
備考
……属格
が意味上の主語になっている。
語(連声前)
説明
語義
副
さらに
日本語訳
…… (カラス)「さらに」
備考
……
[詩]
語(連声前)
説明
語義
形→名男単処
奉仕する者において
←
過分→名男単処
信頼された者において
←
過分幹
清らかな
名女→形→名男単処
理性をもつ者において
代男単主
〜者が
能現単3
行う
名中単対
罪を
日本語訳
…… (カラスの引用する詩)「奉仕する者や信頼された者や清らかな心を持つ者に対して悪事を行う者」
備考
……
[詩]
語(連声前)
説明
語義
代男単対
その
名男単対
人を
形男単対
信頼できない
形女単呼
聖なる
名女単呼
大地よ
副
どうして
能現単2
運ぶ
日本語訳
…… (カラスの引用する詩)「聖なる大地よ、そういう信頼できない人をどうして運ぶ(支えている)のですか?」
備考
……
[詩]
語(連声前)
説明
語義
名男単具
悪人(によって)
副
[具]のような
名中単対
友情を
名女単対
好意を
接
そして
接
もまた
副
ない
←
使能願単3
させるべし
日本語訳
…… (カラスの引用する詩)「悪人のようなものには友情も好意も抱いてはならない」
備考
……
[詩]
語(連声前)
説明
語義
形男単主
熱い
能現単3
燃やす
接
そして
名男単主
炭は
←
形男単主
冷たい
名動反現単3
黒くする
名男単対
手を
日本語訳
…… (カラスの引用する詩)「熱い炭はものを燃やし、冷たい炭は手を汚す」
備考
……
の位置がヘン。そのことについてはランマンに註がある。
語(連声前)
説明
語義
接
または
名女単主
習慣は
代女単主
これ
名男複属
悪人たちの
日本語訳
…… (カラス)「あるいはまた、悪人たちの習慣はこういうものである」
備考
……
[詩]
語(連声前)
説明
語義
副
最初に
名男両処
両足に
能現単3
飛ぶ
能現単3
食べる
名中幹
背
名中単対
肉を
名男単処
耳において
名中単対→副
調子よく
+
代中単対+尾
何を・(不定)
能現単3
うなる
副
静かに
形中単対
種々の
日本語訳
…… (カラスの引用する詩)「最初は両足に飛んできて、(次に)背中の肉を食べ、耳元で調子よく静かになにやらいろいろ叫び」
備考
……
[詩]
語(連声前)
説明
語義
名中単対
穴を
名動絶
確かめて
副
直ちに
能現単3
入る
形男単主
恐怖のない
形中単対
すべての
名男単属
悪人の
名中単対
行為を
名男単主
蚊は
能現単3
する
日本語訳
…… (カラスの引用する詩)「穴を確かめては直ちに入る。恐れを知らない蚊は悪人の行為のすべてを実行する」
備考
…… この両句で悪人の行為を蚊にたとえているわけであるが、金倉円照、北川秀則訳『ヒトーパデーシャ』p.269)によれば「両足のところに飛んで来る」「穴を確かめて入る」という部分は、「両足にひれ伏して挨拶する」「欠点を…」という意味が原語に存在するので、一種の掛詞になっているらしい。
語(連声前)
説明
語義
副
そのように
接
また
日本語訳
…… (カラス)「またこのようにいう」
備考
……
[詩]
語(連声前)
説明
語義
名男単主
悪人は
形男単主
やさしい言葉を語る
接
そして
副
ない
代中単主
これは
名男幹
信頼
名中単主
原因
日本語訳
…… (カラスの引用する詩)「悪人がやさしい言葉をかけてくるのは、信頼を寄せる原因にはならない」
備考
…… 破格構文であるが、
80
と似ているのでわかりやすいと思う。
[詩]
語(連声前)
説明
語義
名中単主
蜜は
能現単3
ある
名男幹
舌
名中単処
先端において
名中単処
心において
名中単主
猛毒が
名中単主
毒が
日本語訳
…… (カラスの引用する詩)「舌の先には蜜があるが、心の中には猛毒がある」
備考
……
語(連声前)
説明
語義
接
さて
名中単処
夜明けに
代男単主
かの
名中幹
畑
名男単主
主人が
名男幹
棒
名男→形男単主
手
代男単対
その
名男単対
場所を
←
能現分男単主
来つつある
名男単具
カラスによって
←
過分男単主
見られた
日本語訳
…… さて夜明けに、かの畑の主人が棒を持ってその場所にやって来るのをカラスは見た。
備考
……