屍鬼二十五話-2(1)
日本で一般に(例えば平凡社東洋文庫・上村勝彦訳で)読まれている『屍鬼二十五話』は、 全体が韻文で書かれた「ソーマデーヴァ本」であるが、 ゴンダ文法の文は散文で書かれている上、 ソーマデーヴァ本(平凡社東洋文庫の本)の第2話といろいろな点で相違がある (たとえばソーマデーヴァ本では求婚者の数は3人であるが、 ゴンダ文法の文では4人)。 散文で書かれた一番有名な伝本といえばジャンバラダッタ本であり、 ゴンダもたぶんそれによったのだろう。
語(連声前)
説明
語義
能現単3
ある
名中単主
(地名)
名中単主
名前
名中単主
町が
日本語訳
…… ダルマスタラという名の町があった。
語(連声前)
説明
語義
副
そこに
名男単主
王が
名男単主
(人名)
名中単主
名前
日本語訳
…… そこにグナディパという名の王(と〜)
語(連声前)
説明
語義
副
そこに
副
まさに
接
そして
名男単主
(人名)
名中単主
名前
名中単主
バラモンが
能現単3
ある
日本語訳
…… そしてちょうど同じ町に、ケーシャヴァという名のバラモンがいた。
語(連声前)
説明
語義
代男単属
彼の
名女単主
娘は
名女単主
(人名)
名中単主
名前
名中単具
美貌によって
副
はなはだ
形女単主
有名な
日本語訳
…… マンダーラヴァティーという名の、彼の娘は、美しさによってとても有名だった。
語(連声前)
説明
語義
代女単主
彼女は
接
そして
名男幹
求婚者
形女単主
ふさわしい
能過単3
あった
日本語訳
…… そして彼女は結婚適齢であった。
語(連声前)
説明
語義
名女単属
彼女
副
を求めて
数男複主
4
名男複主
求婚者が
(←
)
過分男複主
集まって来た
日本語訳
…… 彼女を求めて4人の求婚者が集まって来た。
語(連声前)
説明
語義
数男複主
4
副
すべて
形幹
等しい
名男→形男複主
徳
名男複主
バラモンたち
日本語訳
…… 4人はいずれも同じような徳性をそなえたバラモンであった。
語(連声前)
説明
語義
名男単主
(人名)
名女単対
思考を
(←
)
過分男単主
[対]に至る
能完単3
なった
日本語訳
…… ケーシャヴァは熟考した。
備考
……
ゴンダ文法には、
で 「彼は熟考した」という注がある。
語(連声前)
説明
語義
数女単主
1
名女単主
少女
数男複主
4
名男複主
求婚者
日本語訳
…… 1人の少女に4人の求婚者とは!
備考
…… ゴンダ文法には、この文の最後に!がついているので、そのように訳した。
語(連声前)
説明
語義
代男単為
誰に
(←
)
動形女単主
与えられるべき
代男単為
誰に
副
ない
(←
)
動形女単主
与えられるべき
日本語訳
…… 誰に与えるべきだろうか。誰に与えるべきでないだろうか。
語(連声前)
説明
語義
代男単処
この
副
まさに
名男単処
機会に
名男単属
(人名)の
名女単主
娘が
日本語訳
…… ちょうどこの折に、ケーシャヴァの娘が〜
語(連声前)
説明
語義
名男単具
毒蛇に
(←
)
過分女単主
かまれた
代幹
彼女
副
のために
名男複主
呪術師たちが
(←
)
過分男複主
連れて来られた
日本語訳
…… 〜蛇にかまれ、彼女のために呪術師たちが連れて来られた。
語(連声前)
説明
語義
代男複具
彼ら
名男複具
呪術師たちによって
代女単対
彼女を
絶
眺める
過分中
言われた
日本語訳
…… 彼ら呪術師たちは彼女を眺めて言った。
備考
…… 主語のない非人称文。
語(連声前)
説明
語義
名男幹
毒蛇
(←
)
過分女単主
かまれた
副
ない
能現単3
生きる
名女単主
少女は
代女単主
これ
日本語訳
…… 毒蛇にかまれたこの少女は生きながらえないだろう。
備考
……
が「時間、死」でなく
(毒蛇)の省略形であること、
が「生きながらえないであろう」という意味であることは、 それぞれゴンダ文法に注あり。 ただしこの少女は、もうこの段階で死んでいるのだろうから、 「死んでいる」「死んだ」のように訳しても誤訳にならないと思う。
語(連声前)
説明
語義
名男幹
忠告する人
名中単対
言葉を
絶
聞く
代幹
その
副
ただちに
名男単主
バラモンは
名男単主
(人名)は
日本語訳
…… 忠告者の言葉を聞いて、それからただちにバラモンのケーシャヴァは
語(連声前)
説明
語義
名女幹
川
名中単処
岸へ
絶
行って
名女単属
彼女の
名男単対
浄めの儀式を
能完単3
した
日本語訳
…… 川岸へ行って、彼女の浄めの儀式をした。
語(連声前)
説明
語義
数男複主
4
副
すっかり
名男複主
求婚者たちは
名中単処
墓地へ
(←
)
過分男複主
やって来た
日本語訳
…… 4人の求婚者たちはみんな墓地にやって来た。
語(連声前)
説明
語義
代男単属
彼らの
名中単処
中で
数男単主
1人が
名女単処
火葬のたきぎに
絶
入って
(←
)
過分男単主
死んだ
日本語訳
…… 彼らのうちの一人が火葬のたきぎの中に入って死んだ。
語(連声前)
説明
語義
数男単具
第2(の人)によって
代女単属
彼女の
名中複主
骨が
代幹
彼女の
名中単主
灰が
接
そして
名中単処
墓地に
名中単対
小屋を
絶
作って
(←
)
過分中複主
守られた
日本語訳
…… 第2の人は墓地に小屋を作って彼女の骨と灰を守った。
語(連声前)
説明
語義
数男単主
第3(の人)は
名男単主
苦行者
絶
なって
名中単対
他国へ
(←
)
過分男単主
行った
日本語訳
…… 第3の人は苦行者になって他国へ行った。
語(連声前)
説明
語義
数男単主
第4(の人)は
形幹
自分の
名中単対
住居を
(←
)
過分男単主
行った
日本語訳
…… 第4の人は自分の家に帰った。