マハーバーラタ 3-53-1
ナラ王物語4-1/3
デーヴァナーガリーはランマンのリーダーのものをそのまま使用。
1以外すべて韻文、ブルハダシュヴァのセリフなので、[詩]表記および(ブルハダシュヴァ)「」表記を略。
語(連声前)
説明
語義
名男単主
(人名)は
能完単3
言った
日本語訳
…… ブルハダシュヴァは言った。
備考
……
語(連声前)
説明
語義
代女単主
彼女は
名中単対(または名幹)
敬礼を
絶
して
名男複為
神々に
絶
笑い出して
名男単対
(人名)(を)
能過単3
言った
日本語訳
…… 彼女(=ダマヤンティー)は神々に敬礼して、それから笑い出して、ナラに言いました。
備考
……
語(連声前)
説明
語義
反名単2
表明せよ
副
思い通りに
名男単呼
王よ
代中単対
何を
能命単1
私がすべし
代単為
あなたに
日本語訳
…… ダ「王様、思い通りにおっしゃってください。あなたのために私は何をいたしましょうか?」
備考
……
語(連声前)
説明
語義
代単主
私は
接
そして
副
〜こそは
接
なぜならに
代中単主
〜ものは
接
そして
形中単主
他の
代単属
私の
能現単3
ある
名中単主
富は
代中単主
何
尾
(不定代名詞)
日本語訳
…… ダ「なぜなら、まさに私自身も、そしてその他の私の財宝は何でも(〜だからです)」
備考
……
は次句の「あなたのもの」との関係を示すコピュラ動詞(be動詞)。
語(連声前)
説明
語義
代中単主
それは
形中単主
すべての
代単属
あなたの
副
恐れずに
能命単2
せよ
名男単対
愛情の表明を
名男単呼
王よ
日本語訳
…… ダ「すべてあなたのものだからです。王(=ナラ)よ、恐れずに愛情を表明してください」
備考
……
語(連声前)
説明
語義
名男複属
ハンサ鳥たちの
名中単主
言葉が
代中単主
〜であるものが
接
(強意)
代中単主
それが
代単対
私を
能現単3
燃やす
名男単呼
王よ
日本語訳
…… ダ「王様、ハンサ鳥たちの言葉なるものが私を燃やしたのです」
備考
……
語(連声前)
説明
語義
代幹
あなた
副
〜のために
副
実に
代単具
私によって
名男呼
勇士よ
名男複主
王たちが
←
←
使過分男複主
集められた
日本語訳
…… ダ「勇士よ、まことにあなたのために、私は王たちを集めたのです」
備考
……
語(連声前)
説明
語義
接
もし
代単主
あなたが
反現分女単対
愛する
代単対
私を
能未単2
拒絶するだろう
名男単呼
尊敬を与える者よ
日本語訳
…… ダ「尊いあなたよ、恋しい気持ちを持つ私を、もしあなたが拒絶するならば」
備考
……
(愛する)は女性形になっているからには、ダマヤンティーがナラを愛する気持ちのはず。これを「愛する私を」などと訳してしまうと、まるでナラがダマヤンティーを愛するという意味のようになってしまう。だからくどくても上記のように訳すべきだろう。ところで岩波文庫の鎧先生の訳では「憎からず思し召されますわたくしを」とあるのだが、これでは確実にナラの気持ちになってしまう。これは誤訳ではないだろうか。
語(連声前)
説明
語義
名中単対
毒を
名男単対
火を
名中単対
水を
名女単対
縄を
反未単1
手段に訴えるだろう
代単属
あなたの
名中単従
行為から
日本語訳
…… ダ「私はあなたの行為によって、毒や火や水や縄を用い(た自殺をす)ることでしょう」
備考
……
語(連声前)
説明
語義
副
このように
←
過分男単主
言われた
接
一方
名女単具
(人名)によって
名男単主
(人名)は
代女単対
彼女(を)
能完単3
答えた
間
〜のだ
日本語訳
…… 一方、ヴィダルバの王女(=ダマヤンティー)にこう言われて、ナラは彼女に答えたのです。
備考
……
語(連声前)
説明
語義
←
能現分男複処
いる(処格絶対節)
名男複処
世界の守護者たち(処格絶対節)
副
どうして
名男単対
人間を
能現単2
欲する
日本語訳
…… ナ「世界の守護神たちがいらっしゃるというのに、どうしてあなたは人間を(婿に)欲するのですか」
備考
……
語(連声前)
説明
語義
代男複属
〜なる者たちの
代単主
私は
名男複属
世界創造者の
名男複属
主たちの
形男複属
高貴な
日本語訳
…… ナ「世界創造者である高貴な主たちにとって、私は〜」
備考
……
語(連声前)
説明
語義
副
ない
名男幹
足
名中単具
塵
形男単主
[具]に匹敵する
名中単対
心が
代単属
あなたの
代中複処
彼らにおいて
反命単3
転がるべし
日本語訳
…… ナ「足のごみにも匹敵しません。あなたの心が彼ら(=神々)に向けられますように」
備考
……
語(連声前)
説明
語義
名中単対
不快なことを
接
なぜなら
←
能現分男単主
行っている
名男単主
人間は
名男複属
神々の
名男単対
死(を)
能現単3
行く
日本語訳
…… ナ「なぜなら、神々のいやがることをして、人は死に赴くからです」
備考
……
(神々の)は冒頭の
(不快なこと)にかかる。
語(連声前)
説明
語義
能命単2
守れ
代単対
私を
名女単呼
完全無欠の美女よ
←
使反命単2
選べ
名男幹
神
形→名男複対
最高の者たちを
日本語訳
…… ナ「私を守ってください。完全無欠の美女よ、最高の神々を選んでください」
備考
……
語(連声前)
説明
語義
形中複対
清潔な
接
そして
名中複対
着物を
名男複主
神聖な
形男複主
鮮やかな
名女複主
花環は
副
同様に
日本語訳
…… ナ「清潔な着物を、そして神聖で鮮やかな花環は同様に」
備考
…… 着物、花環(花冠)、そして次句の装身具の3つが目的語となって次句の
(享受せよ)にかかるので、全部対格になるはずだが、花環の部分だけなぜか主格になっている。
語(連声前)
説明
語義
名中複対
装身具を
接
そして
形中複対
第一の
名男複対
神々を
絶
得て
副
どうか
反命単2
享受せよ
副
実に
日本語訳
…… ナ「第一の装身具を、神々を得ることでどうか享受してください」
備考
……
語(連声前)
説明
語義
代男単主
〜者が
代女単対
この
名女単対
大地を
形女単対
すべての
絶
破壊して
反現単3
飲み込む
副
再び
日本語訳
…… ナ「この全ての大地を破壊してさらに飲み込む者である〜」
備考
……
は次句の
と対応
語(連声前)
説明
語義
名男単対
アグニ神を
名男単対
主を
名男複属
神々の
代女単主
誰が
代男単対
彼を
副
ない
←
使能願単3
選ぶべし
名男単対
夫(を)
日本語訳
…… ナ「神々の主であるアグニ神を、どの女が、夫として選ばないことがありましょうか」
備考
……
語(連声前)
説明
語義
代男単属
〜なる者の
名男幹
刑罰@
名中単従
恐怖から
名男複主
すべての
名中幹
生物
名男複主
集団が
←
過分男複主
集まって来た
日本語訳
…… ナ「この神の刑罰への恐怖によって、すべての生物の集団が集まって来て、」
備考
…… 関係詞節はまだ次に続く。
語(連声前)
説明
語義
名男単対
掟(を)
副
〜こそ
能現複3
従う
代女単主
誰が
代男単対
彼を
副
ない
←
使能願単3
選ぶべし
名男単対
夫(を)
日本語訳
…… ナ「掟に従うというこの神を、どの女が、夫として選ばないことがありましょうか」
備考
……
この神とはランマンによればヤマ神のこと。また鎧先生によれば、さらにヴァルナ神をも含んでいるらしい。
は7類だが
は4類。しかも通常は反射態だがここは能動態。
語(連声前)
説明
語義
形男単対
正義を重んじる
形男単対
高潔な
名男幹
(人名)
名男幹
(人名)
形男単対
粉砕する
日本語訳
…… ナ「正義を重んじ、高潔で、ダイティヤやダーナヴァを粉砕した」
備考
…… すべて次句の
にかかる。
語(連声前)
説明
語義
名男単対
大インドラ神を
形幹
すべての
名男複属
神々の
代女単主
誰が
代男単対
彼を
副
ない
←
使能願単3
選ぶべし
名男単対
夫(を)
日本語訳
…… ナ「大インドラ神を、すべての神々の中から、どの女が、夫として選ばないことがありましょうか」
備考
……
の属格の用法は、辻文法p.286の「全体の一部に関する表現」とみなしていいだろう。